大人になってから、絵を描けるようになりたいと思う人は少なくありません。その入り口として選ばれることが多いのがデッサンです。
「絵心がないから」とためらう必要はありません。デッサンは、見たものを、見たとおりに描く練習です。この記事では、最初にそろえる道具と、上達のための練習の進め方を紹介します。
デッサンとは、何を練習するものか
デッサンは、ものの形・明るさと暗さ(陰影)・質感を、主に鉛筆で描き表す練習です。
- 形:ものの輪郭や、各部分の大きさの比率をとらえる
- 陰影:光がどこから当たり、どこが暗くなっているかをとらえる
- 質感:ガラスのつるつる感、布のやわらかさなどを描き分ける
デッサンを通して身につくのは、絵の技術だけではありません。ものをよく観察する目が育つので、写真や水彩など、ほかの表現にもつながります。
最初にそろえる道具
最初は、基本的な道具だけで十分です。
| 道具 | 選び方の目安 |
|---|---|
| 鉛筆 | 硬いもの(H系)から、やわらかいもの(B系)まで数本。HB・2B・4Bあたりから始めると使い分けやすい |
| 消しゴム | 普通の消しゴムに加えて、練り消し(形を変えられる消しゴム)があると、明るさの調整に便利 |
| スケッチブック | 鉛筆がのりやすい画用紙のもの。持ち運びやすい大きさを |
| 鉛筆を削る道具 | カッターで長めに削ると、芯の側面も使えて描きやすい |
| 描くもの | 箱、コップ、果物など、身近なもので十分 |
道具は、続けてから買い足す
最初から多くの道具をそろえる必要はありません。描き続けるうちに、自分が使いやすい鉛筆の硬さや紙の質が分かってきます。そのときに買い足すほうが、無駄がありません。
練習の進め方
1. 線を引く練習
まっすぐな線、曲線、濃い線、薄い線を、紙いっぱいに引いてみます。手首だけでなく、腕全体を使って引く感覚をつかむと、長い線が安定します。
2. 明るさの段階をつくる
鉛筆の力加減や重ね方で、白からいちばん暗い色まで、数段階の明るさを並べて描いてみます。陰影を描くための基礎になります。
3. 単純な形を描く
箱、円柱(コップや缶)、球(りんごやボール)など、単純な形のものから描きます。複雑に見えるものも、これらの形の組み合わせでとらえられるようになります。
4. 光と影をとらえる
光の向きを決めて(窓のそば、またはスタンドライトで一方向から照らす)、明るい面・暗い面・影を描き分けます。
5. 身近なものを組み合わせて描く
慣れてきたら、いくつかのものを並べて描きます。ものどうしの大きさや位置の関係をとらえる練習になります。
上達のために意識したいこと
- 描く時間より、見る時間を長く:描き始める前に、形や明るさをよく観察する
- 全体から細部へ:最初から細かく描き込まず、全体の形と大きさを先に決める
- ときどき離れて見る:近くで描いていると気づかない形の狂いに、離れると気づける
- 描いた日付を書いておく:後で見返すと、上達が分かって励みになる
ひとりで練習する場合と、講座で学ぶ場合
| 比べる点 | ひとりで練習 | 講座で学ぶ |
|---|---|---|
| 費用 | 道具代だけで始められる | 受講料がかかる |
| 時間 | 好きなときに描ける | 決まった日時に描く習慣ができる |
| 気づき | 自分の癖や形の狂いに気づきにくい | 講師に、その場で直してもらえる |
| 段階 | 何から練習すればいいか迷いやすい | 順を追ったカリキュラムがある |
デッサンは、自分では気づきにくい形の狂いや癖を、人に見てもらうことで大きく伸びる分野です。少人数の講座なら、毎回の作品に講評がつき、ほかの参加者の作品からも学べます。
鉛筆の持ち方や線の引き方まで直してほしい場合は、手元を直接見てもらえる対面の講座が向いています。作品の講評が中心なら、オンラインでも学べます。違いはオンライン講座と対面講座、どう選ぶ?で紹介しています。
まとめ
- デッサンは、見たものを見たとおりに描く練習。観察する目が育つ
- 最初の道具は、数本の鉛筆・消しゴムと練り消し・スケッチブックで十分
- 線 → 明るさの段階 → 単純な形 → 光と影 → 組み合わせ、の順に練習する
- 見る時間を長く、全体から細部へ、ときどき離れて見る
- 形の狂いや癖は、人に見てもらうことで直しやすくなる
じっくり上達したい人は、回数制コースと月謝制、続けやすいのはどっち?も参考にしてください。